2007年08月01日

第13回(1995年4月号)(最終回)

 BJ読書のみなさん、お元気ですか?また、(※1)特に関西方面の地震の被害にあわれたみなさんには、心よりお見舞い申し上げます(2月号パンド・プラザにご登場の伊丹市吹奏楽団のみなさんはお元気なんでしょうか)。東京に住んでいる僕らには、残念ながら今のところ募金とかチャリティに協力することぐらいしかできませんが、1日も早く関西のホールがブラスの響きで再び満たされることを願っています。どうか頑張ってください。

 さて、こんな時に僕の趣味の話なんかしている場合じゃないけど、今回で最後なので、僕のお気に入りのトロンボーン関係のCDの中から、これはスバラシイ、一生の宝物、と思っているものを紹介してしまおうと思います。僕のコメントを読んで、もし興味がわいたら、何とか手に入れてきいてみてください。レコード屋さんに行ってすぐに見つかるようなものはないと思いますが、通信販売で手に入れることが可能なものもありますから、ぜひトライしてみましょう。

【パリ・トロンボーン四重奏団】(BW-1001D,BW-1004D,BW-1005D他)
ハラヤミュージックエンタープライズ公式サイト

 なにしろはじめて彼らの演奏を耳にしたときの驚きは、今でも忘れられません。明るくて柔らかく艶やかなサウンド、変幻自在の音色、そして伸びやかで自然な音楽。もちろんアンサンブルは絶妙。僕はドヴォルザークの「ユーモレスク」、モーツァルトの「メヌエット K.575」、ドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」などの名曲をこんなにも生き生きと演奏できるグループを、他に知りません。


【C.LINDBERG / TROMBONE AND VOICE IN THE HABSBURG EMPIRE】
(BIS-CD-548 ※輸入盤)
タワーレコード関連ページ

 リンドバーグ氏は世界でも希有な存在の、フルタイムのトロンボーンのソリスト(純粋にソロだけでプロとして生きている人のこと)として、日本でももうおなじみですが、彼の数多くのCDの中で、一風変わっているのがここに紹介するアルバムです。何が変わっているのかというと、他の多くのCDはピアノ伴奏であれオーケストラ伴奏であれ、すべてがリンドバーグ氏のソロなのですが、このアルバムではトロンボーンはソロというよりも、声楽と室内楽の一員という位置づけなのです。きき手のほうで構えずにきくことができるためか、リラックスして音楽全体を楽しめるような気がします。楽器はアルトのサックバット(バロック・トロンボーン。現代の楽器よりベルが極端に小型で、マウスピースをはじめ各部の形状が異なり、大きな音は出せないが、声楽とよく合う素朴で魅カ的な音がする)が使われていて、技術的には驚異的に難しいことを演奏しているのに、きき手にそのことを意識させない。ホントにすごい。


【JU"RGEN HEINEL / Romantic Trombone Concertos】("=umlaut)
(BERLIN Classics O120 013/Deutsche Schallplatten ※輸入盤)
タワーレコード関連ページ

ダヴィッドの「小協奏曲」は最も多く演奏されているトロンボーンのソロの作品のうちのひとつですが、このドイツの作品をドイツの楽器で、しかもドイツ・スタイルで演奏したCDはなかなかありませんでした。最近手に入れることができたこのアルバムは、やっと決定盤に出会ったな、と思わせるだけの素晴らしい演奏です。ダヴィッドに限らず、いわゆるドイツものは、我々が演奏すると往々にしてダサくなってしまうのですが、このCDをきいて、その自信にあふれた演奏から、改めてドイツ音楽の魅力、奥の深さを見せつけられた感じです。伴奏のベルリン国立歌劇場管弦楽団の演奏も素晴らしく、また教会で録音しただけあって、響き、残響ともに豊かで、許されるならオーディオのヴォリュームをいっぱいに上げてきいてみたいCDです。


【BERT KAEMPFERT & HIS ORCHESTRA / THE SILVER COLLECTION】
(ドイツPOLYDOR 823 702-2 ※輸入盤)
(上記アルバムは発見出来ませんでしたがHMVのこちら発見。12曲目“THE”が抜けてますが、多分これじゃないかと思われます。違ったらごめんなさい。)
BERT KAEMPFERT 公式サイト(英語)

 このあたりになってくると、かなりマニアックな世界になってしまい、入手もけっこう難しいと思いますが、許してくださいね。僕が中学生の時に、生まれてはじめてきいたトロンボーンのソロがこのベルト・ケンプフェルトのTHE WAY WE WERE(追憶のテーマ)です。これ以上割れた音はないぞというイントロのバストロにのけぞって、期待していると予想に反してソフトでシンプルなテナー・トロンボーンのソロがはじまります。なーんだと思っていると、サビの部分では、なんとハイA♭(へ音記号の第五線A♭のなんと2オクターヴ上)まで出てきて、またまたのけぞってしまいます。こういうの好きだなあ。これ1曲で2度おいしいよ!


【映画“ティファニーで朝食を”サウンド・トラック】
(アメリカBMG 2362-2-R ※輸入盤)
amazonで見る(国内盤)9曲目「ホリーの気持ち」に注目

 実は、あの「ムーン・リヴァー」があまりにも有名なので、トロンボーンのソロは影が薄いのですが、1枚を通してきいてみると、トミー・ドーシー・スタイルのスウィートなものあり、ビッグ・バンド・ジャズありで、音楽だけでも楽しめるアルバムです。その9曲目、HOLLYという曲でソロを吹いているのは、どこにも書いてないけど、間違いなくディック・ナッシュという人で、スライド・ヴィブラートをかけたその美しい音、非の打ちどころのないレガート、スロー・テンポで8小節30拍にもわたって一息で朗々と歌い切るテクニック等々、我々の耳を捕らえ離しません。

 このヘンリー・マンシーニの美しいメロディをこういうふうに演奏できたら、僕だったらいつトロンボーンをやめてもいいなと思ってしまいます。このディック・ナッシュ氏は僕のいちぱん好きなトロンボーン吹きです。

 いかがでしたか?1年間僕のつたない文章にお付き合いいただいて、どうもありがとう。みなさん、これからもトロンボーンのいろんな演奏に接したり、練習してうまくなって、さらなる魅力を発見してください。僕はこれからも、(※2)『新日本フィル』で日本中いろんなところにおじゃますると思いますので、もし見かけたら声をかけてくださいね。

 それではみなさんお元気で。さようなら。


(2006.6.21.追記)
元原稿にはお問い合わせ先として楽器店やCDショップの電話番号などを記していましたが、ここでは可能な限り調べてネットショップなどのURLリンクをCDタイトルの下に記しました。購入出来ることを保証するものではありません。もしリンク切れなど発見されましたらお知らせ下さいね。(なおアフィリエイトではありません)

いまだに僕宛にベルト・ケンプフェルトのお問い合わせをいただいたりしてます。覚えてくださっていて感激です。

それから(※1)は、阪神淡路大震災の直後の原稿だったので、身内も少々被災(けが等は無し)したこともあって他人事と思えず一言入れさせていただきました。当時伊丹市吹奏楽団の団長さまよりご丁寧にお手紙をいただいて、感激した記憶があります。大変な時にありがとうございました。

(※2)ご存じ?の通り2000年1月1日付けで都響へ移籍いたしました。これからもどうぞよろしくお願いします。
posted by こが@管理人 at 01:00| Comment(0) | ◆WEB復刻版ワンポイントレッスン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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