2007年08月09日

第5回(1994年8月号)

 BJ読者のみなさん、先月号のレッスンはいかがだったでしょうか。毎日暑くて、ついつい基礎練習がおろそかになってしまいがちだと思いますが、この暑い季節こそ基礎力を向上させるチャンスです。僕もミネラルウォーターのビンを片手に練習に励んでます。みなさんも、暑さに負けずに頑張ってください。

 さて今月は、タンギングと舌の働きについて考えてみたいと思います。
 舌というものは、トロンボーンを演奏する上で、非常に大切な働きをしています。その働きとは、


(1)タンギングをして音の立ち上がりをつくったり、音と音の区切りをつける

(2)口腔内の容積を変えて音色を調整したり、息の流れを整えて唇に導く


 (1)は今月のメインテーマなので後で述べることにします。(2)については、先月号の中で、口の中を「おー」「えー」「いー」と変化させると書きましたが、舌の位置を動かすのは、あくまで音の焦点を合わせる(音色を整える)ためであって、それで音程を変えるわけではありません。ですから、口腔内の容積を変えただけで、それまで出せなかった高い音や低い音が出せるようになるわけではないので、誤解のないように。練習するときには、音程を変えたら自然に口の中も変わるというくらいの気持ちでのぞんでください。

 さて、(1)のタンギングに話を戻しましょう。タンギングというと、「舌突き」というふうに訳されているのですが、実はこの「舌突き」という訳語が簡単そうで厄介なのです。よく生徒に教えるときに「タンギングは舌を突くだけではなく、むしろ離す動作に意識を向けて」というふうにいわれていますが、どうしても突くという動作に意識が集中しがちです。きれいなタンギングができていると、音のいちばん最初の立ち上がりの部分が図@のように、すっきりとします。しかし、舌に無駄な力が入っていたり、逆にアタックが不明確だったりすると図Aのようになってしまいます。特に舌に力の入りすぎた人は、もっと舌の力を抜いて、必要最小限の舌の動きでアタックできるようにする必要があります。逆に、アタックが弱すぎる人はもう少し舌に仕事をさせないといけません。

 当たり前の話なのですが、いずれにしても、舌の動きが強い弱いと判断できるのは、自分自身か、もしくは専門家しかいないわけで、この限られた紙数ではこれ以上のことはお伝えできません。

 ですから、みなさんにできることがあるとしたら、自分の耳で自分の音をきき、図@のようなはっきりとした音の立ち上がりを目指して練習してもらうしかないと思います(壁打ち練習と称して、渡り廊下などのコンクリートの壁に向かってアタックの練習をやってもいいですよ)。あとは、できることならば、自分の練習を録音してきいてみるのもいいでしょう。もちろんブロの演奏を生できいたり、CDをきいたりして、きれいで無駄な力の抜けた発音というものの具体的なイメージをもつことも大事だと思います。

 この音の立ち上がりの間題には息の流れの問題もかかわっています。せっかくいいタンギングができていても、息の流れがしっかりと立ち上がってくれないと、きれいなアタックにはなりません。また息の出だしのタイミングとタンギングのタイミングがぴったりと合わないとうまく発音できません。タンギングよりも息が早く立ち上がると、図Aaのようになりやすく、また、息の立ち上がりのほうがタンギングよりも遅いと、図Abのようになりやすいです。

 これまでに述べたことから、明確な音の立ち上がりは、無駄な力が抜けて、しかもはっきりしたタンギングと、いいタイミングで送り出される息の流れによる絶妙のハーモニーというふうにいえると思います。

 最後にタンギング練習のための楽譜を書いておきますので、参考にしてみてください。

08-zu1.2.jpg


 「図1」はできる限りテヌートで練習してください。息の出し方はロングトーンの練習のときと同じに真っすぐに出すようにしましょう。ロングトーンをしながら舌先で軽く印を付けてゆくような感じです。発音は「tu」または「du」でいいと思います。

 「図2」ははじめにタンギングをせずに、息だけで発音してみてください。「fu-」と息を出して音をつくるのです。決してタンギングしないように。そして、図にあるような音形になるように耳を澄まして、練習しましょう。特に、音のはじまりの部分と終わりの部分に気をつけてください。はじまりは図のようにスパッと、そしてお尻のほうは、少し余韻をつけるように。決して、舌で止めたりしないようにしてください。そして、次にできるだけ軽いタンギングで同じ楽譜を練習します。

 さて、来月号ではちょっと一息という感じで、楽器の選び方、その他もろもろをやってみたいと思っています。腕が上がってくると、やっぱりいい楽器がほしくなってくるものです。今でなくても将来役に立つ話になると思いますよ。お楽しみに。
posted by こが@管理人 at 01:00| Comment(0) | ◆WEB復刻版ワンポイントレッスン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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