2007年08月10日

第4回(1994年7月号)

 BJ読者のみなさん、元気に練習に励んでますか?ブレス・コントロールについてはわかってもらえたかな。僕の説明だけでは不十分かもしれないので、前のぺージ(※)の渡部先生のレッスンの5,6月号を参考にさせてもらいましょう。ユーフォニアムとは、マウスピースの大きさも近いし、音域もほぼ同じなので、きっと大いに参考になるでしょう。

 さて、前置きはこれぐらいにして、本題に入りましょう。今月はフレキシビリティ(柔軟性)に関してのお話です。

 我々トロンポーン吹きの間でよく交わされる会話に、


 @「唇がほどよくほぐれたよ」

 A「ほぐれる前にバテてしまって最悪だ」

 B「はじめっから出来上がっているな」



 などというのがあります。これらの言葉の裏側に隠された主人公の心情を順に解説すると、


 @「今日は口慣らしを十分にやったのでいい感じで音が出ているよ、いいだろ〜」

 A「ウォームアップするのがめんどくさくていきなり曲をさらったから、今日は一度も調子が上がらずに終わりそうだ。こんなことを続けると、きっとどんどん下手になってしまうんだろうな。やばいよな」

 B「昨日の練習で死ぬほど吹かされて、今日は唇がはれぼったくて調子が悪いよ。なるべくなら、今日はあんまり吹きたくないな…しかし練習の好きな指揮者だなあ」


ということになります。これらのことから、ウォームアップをきちんとやって唇をほぐして柔軟にすることによって、いい感じ、いいコンディションでトロンボーンを鳴らすことができるということがわかります。

 フレキシビリティ(flexibility)ということばには、上に述べたような、唇自体の柔軟な、いいコンディションのことだけではなく、さらに、もっと大事な意味があります。それは、同じスライド・ポジションの中で、いろいろな高さの音の間を、タンギングをしないで(最初だけはタンギングします)唇と息のコントロールだけで、なめらかに自由自在に行き来できるということです。この状態を我々は「リップスラーがうまい」といいます。

 実はこの「リップスラー」という言葉が、今月の隠れたメインテーマなのです。つまり、リップスラーの練習を積めば、柔軟性がついてくるというわけです。どうです、おわかりいただけましたか?

 では、簡単なパターンで練習してみましょう。前に述べたとおりに、タンギングは、出だしの1回だけにしてください。無意識に、音の変わり目でタンギングをする人をたくさん見かけますが、途中で舌をついてしまったら、練習の意味がなくなってしまいます。また、音の変わり目で、息を絞ってリップスラーにしている人もよく見かけますが、やはりいい方法とはいえません。はじめのうちは、うまく音がつながらないかもしれませんが、そのうちにきっとできるようになります。だからぜひ、息はまっすぐに(一定に)出すようにしましょう。そして、音と音をなめらかに(タンギングなしで)つなぐように頑張ってください(うまくいかない時は、もう一度5月号のバズィング練習をやってみてください)。

 以上のことに加えて、ぜひトライしてほしいことがあります。それは、音域によって口の中の容積を変えるということです。低音域の時は、「オ」の発音をする時の舌の位置、中音域の時は「エ」、高音域の時は「イ」、さらにその上は「ヒ」の発音の時のようにと、徐々に舌の位置、下アゴの位置を変化させます。

07-tonguelevel-breath.jpg

 これは各音域の音色を、より明確にするために必要なことです(試しに、中音のFをロングトーンしながら、口の中を「オーエーイー」と変化させることができれぱ、音色の変化に気づくことができるでしょう)。

 譜例には、口の中の発音の形を書き加えていますので、それを参考に練習してみてください。実際には、「オ」「エ」「イ」という舌の位置で最もいい音がするとは限らないので、自分の耳で確かめながら、舌の位置を探してみてください。

07-lip-slurs.jpg

 リップスラー練習の効果は、体をほぐしたり、シェイプアップをしたりという体操によく似ています。ここに挙げた楽譜は最もベーシックなものなので、上達してきたら次に紹介する教本を手に入れて、さらにいろいろなパターンで練習しましょう。

●Warm-Up Exercises for Trombone(by Emory Remington)
●The Remington Warm-Up Studies(by Domald Hunsberger)
※出版は2点とも Accura Music

 2冊の内容は同じなのですが、下段のHunsberger氏の著書の方が多くのパターンを収めてあり、また英語がわかるのであれば、説明も多くていいと思います。ヤマハやアカデミア・ミュージック等で入手できると思います。


 さて、次回8月号では、今月号とも関連しているのですが、タンギングや舌の働きについて考えてみたいと思います。賢明なる読者諸姉諸兄、次号は歯をきれいに磨いてから読むように。

 ではまた来月。




>>(※)の渡部先生のレッスンの5,6月号

当時、誌上では僕の前のページをユーフォニアムの渡部謙一さんが担当されていました。
posted by こが@管理人 at 01:00| Comment(0) | ◆WEB復刻版ワンポイントレッスン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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