2007年08月11日

第3回(1994年6月号)

 BJ読者のみなさん、お元気ですか。この春からトロンボーンをはじめた人も多いのではないかと思いますが、もう楽器には慣れましたか?まだまだ自由自在に曲を演奏するわけにはいかないと思いますが、まあどんな名人でも最初は例外なく下手だったわけですからね。気長に、のんびりやりましょう。

 さて、今月のテーマは、GOOD SOUND の素、「ブレス・コントロール」です。4月号で述べた、僕の考えるところのいい音を得るためには、常に安定した空気の流れを楽器の中に送り込む必要があります。呼吸法といってしまうと難しい感じがしますが、要するにみなさんが、無意識のうちにしているその呼吸の動作を、音楽の流れに合わせて、トロンボーンが適切に鳴ってくれるように効率よく行おうということです。

 今月のポイントは

(1)1回空気を吸ってから吐くまでのプロセスで、いかに無理なく肺の能カを最大限に引き出すか
(2)その一呼吸分のプロセスを、なめらかに、音楽に合わせて何回も連続させることができるか


 ということです。

 では(1)から話を進めましょう。通常腹式呼吸というと、横隔膜を緊張させて下げることによって、肺の下部を広げて呼吸すること(結果的に内臓や体の一部が押し出されるかっこうでウエスト回りがふくらむので、腹部に空気が入ったと勘違いしやすい)を指しますが、実際にはそれだけでは十分な空気の量を確保することは困難です。

 それではどうするのかというと、図@のように横隔膜が下がったあとに、胸の方(肺の上部)にも空気を入れるのです(肩を上げてはいけません)。
06-zu1.jpg
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そして吐き出すときは、はじめに横隔膜を下の方に保ったまま(ベルトのあたりをふくらませたまま)胸を下げるようにして、胸の方から空気を出していきます。

 次に胸の方の空気がなくなってきたら、ベルトのあたりを徐々にへこませるようにして最後まで空気を出し切ってしまいます。大事なのは、最初に横隔膜の方に入れて、その次に胸の方に入れる、そして吐き出すときはその逆だということです。くれぐれも、順番に気をつけてください。

 とはいえ、「これだけじゃ分からん」という人のために、肺の上部と肺の下部のどこに空気を入れるとよいかを理解するための手助けとして、図Aの体操を紹介します。これをたくさんやっても肺活量が増えるわけではありませんが、腹式呼吸と胸での呼吸による体の動きを実感できると思います。
06-zu2.jpg
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 さて、(2)の話に移ります。いろんなところに教えに行くと、「吸って」「吐いて」という動作がスムーズではない人をよく見かけます。図Baのように、一度肺の中で空気をため込んでしまうと、次に発音するときにどうしても舌に力が入って破裂音になってしまう原因になります。できるだけ図Bbのように、息を吸いながらテヌートをするような気持ちでブレスしてみてください。
06-zu3ab.jpg
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ひとつ訂正です
図Bbのグラフ左下の「すっ!」という記述を「すー!」に訂正します。(2006.6.24.追記)


 さらにもうひとつ大事なことですが、ブレスをしたときからすでに音楽がはじまっているということを忘れてはいけません。よく、テンポに関係なくブレスをする人を見かけますが、息を吸い込んだときからその曲のテンポに乗せることが肝心です。またそれに加えて、これから吹こうとしているフレーズのイメージに合わせて息を吸うようにしましょう。ff で勇ましく吹きたいのにゆっくり吸ってみたり、pp でソフトに吹こうとしてるのにff の時と同じに勢いよく吸い込んでしまってはいけません。吸い込む動作からその音楽に入ってゆくようにしましょう。

 さあ、今月のワンポイント・レッスンは、いかがでしたか。次なる7月号では、いよいよ「フレキシビリティ(柔軟性)」をつけるためのレッスンとなります。世の金管奏者たちがいい音を出すために、またいいコンディションを得るために、日々行っている練習の秘密とは……賢明なる読者諸姉諸兄、次号を待て!!
posted by こが@管理人 at 01:00| Comment(0) | ◆WEB復刻版ワンポイントレッスン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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